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2026/09/07 16:40
前回は「珈琲の精製方法と味わい」についてお話しました。ナチュラルやウォッシュドなど、同じ珈琲でも精製方法によって味わいが変わる。そんなお話でした。今回はもう一つ、珈琲の味を考えるうえで欠かせない「産地」について見ていきたいと思います。
珈琲豆を買うとき、「エチオピア」「ブラジル」「コロンビア」など、国の名前が書かれているのをよく見かけますよね。そして「エチオピアはフルーティー」「ブラジルはナッツっぽい」なんて話を聞くこともあります。でも最初に一つだけ。「この国だから必ずこの味」というわけではありません。珈琲の味には、品種、標高、気候、土壌、精製方法、焙煎など、いろいろなものが関係しています。同じ国の中でも地域が変われば味わいは違います。なので今回は、あくまで「この産地には、一般的にこんな珈琲が多い」くらいの感覚で見ていきましょう。
そもそも、なぜ産地で味が変わるの?
珈琲も農作物です。当然、育つ環境によって特徴が変わります。例えば標高が違えば気温が違いますし、雨の量や日照、土壌も地域によって違います。さらに、その土地で育てられている品種や精製方法も異なります。ワインでよく聞く「テロワール」という言葉がありますが、珈琲でも同じように、その土地の環境が味わいに影響すると考えられています。ちなみに「標高が高ければ高いほど美味しい」と思われがちですが、これは少し違います。高地の涼しい環境が品質に良い影響を与えることはありますが、適した標高は緯度や品種によっても変わります。つまり、標高2,000mだから絶対に美味しい!というほど単純ではないんですね。では、代表的な産地を見てみましょう。
エチオピア 花や果実を感じる珈琲
まずは、アラビカ種の故郷エチオピア。一般的には、花のような香り、柑橘、ベリーなどを思わせる華やかな珈琲が多く見られます。有名な「イルガチェフェ」などでは、ジャスミンや紅茶、柑橘を思わせるような非常に華やかなものもあります。そして面白いのが精製方法です。ウォッシュドなら、すっきり華やか。ナチュラルなら、ベリーや熟した果実のような印象。同じエチオピアでも、かなり雰囲気が変わることがあります。「珈琲って苦い飲み物でしょ?」と思っている方ほど、一度高品質なエチオピアを飲んでみると面白いかもしれません。「これ、本当に珈琲?」と思うような一杯に出会えることがあります。
ケニア ジューシーな酸味
エチオピアのお隣、ケニア。ケニアの珈琲は一般的に、明るくジューシーな酸味と果実感で知られています。カシスやベリー、柑橘などを思わせるものもあり、珈琲というより果物のように感じることもあります。珈琲初心者の方には、「酸味のある珈琲は苦手……」という方もいると思います。でも、質の良い珈琲の酸味は、単純な「酸っぱい」とは少し違います。例えばオレンジやリンゴを食べたときに感じる、心地よい酸味。そんなイメージに近いことがあります。以前の記事でご紹介した「SL28」も、ケニアを代表する品種の一つです。産地と品種の話が、少しずつつながってきましたね。
ブラジル 馴染みのある「珈琲らしさ」
続いてブラジル。一般的には、ナッツ、チョコレート、キャラメルのような甘さ、穏やかな酸味を感じるものが多くあります。日本人が昔からイメージする「珈琲らしい珈琲」に近いかもしれません。そのため、「酸味より、コクや甘さが好き」という方には選びやすい産地です。ただし、ブラジル=ナッツやチョコレートだけではありません。ブラジルは非常に広い国ですし、現在では華やかな果実感を持つ高品質なスペシャルティ珈琲もたくさん作られています。なので「ブラジルは全部似た味」と思っていると、意外な一杯に出会うことがあります。
コロンビア 実はかなり個性豊か
コロンビアも、日本ではとても馴染みのある珈琲産地です。一般的には、甘さ、酸味、コクのバランスが良く、飲みやすいと紹介されることが多いです。ただ、コロンビアは南北に長く、山岳地帯も多いため、地域によってかなり特徴が違います。例えばウイラでは、果実感やフローラルな香りを持つものが多く、ナリーニョでは明るい酸味や甘さを感じる珈琲が見られます。つまり、「コロンビア」という国名だけでは、ちょっと範囲が広すぎる
んですね。珈琲に少し慣れてきたら、「コロンビア」だけでなく、「コロンビア・ウイラ」「コロンビア・ナリーニョ」というところまで見てみると、さらに面白くなります。
産地は「味の答え」ではなくヒント
今回ご紹介した4か国をざっくりイメージすると、
エチオピア→ 花、柑橘、ベリーなど華やか
ケニア→ 明るくジューシーな酸味
ブラジル→ ナッツ、チョコレート、甘さ
コロンビア→ 甘さ、酸味、コクのバランス
といった傾向があります。ただし、これはあくまで目安です。同じ国でも、地域、品種、精製方法が変われば味も変わります。なので個人的には、産地は味の「答え」ではなく、その珈琲を想像する最初のヒントくらいに考えるのがちょうどいいと思います。次に珈琲豆を選ぶ時、「今日はブラジルにしようかな」「前回エチオピアだったから、今度はケニアを飲んでみよう」そんな選び方をしてみるのも面白いと思います。そして誰かに、「ちなみに、標高って高ければ高いほど絶対に美味しいわけじゃないんだよ」なんて話したくなったら、今回もしっかり珈琲の沼に近づいています。
それでは、ハヴァグッドコーヒータイム。

